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初めてのダンススタジオ

 「このくらいお腹が出ていないと、貫禄がつかないよ」などと楽観的に考えている男性諸氏は注意していただきたい。 なぜなら、この上半身肥満が各種の疾病を引き起こす一因となっているからである。

 たとえば糖尿病である。 もともと、糖尿病になる危険率は肥満の人のほうが、正常の体重の人の3・17倍にのぼることが判明している。
ところが、その肥満をさらに上半身肥満と下半身肥満に分けて糖尿病との関係を調べると、上半身に体脂肪が蓄積した人は、正常体重者の10.34倍もの危険率にはね上がるのである。  その他にも、肥満度が同じでも上半身肥満型男性は、女性にくらべて動脈硬化性心疾患や、高脂血症などにかかる率がアップしていく。
もちろん、女性だからといって、上半身肥満型がいないわけではない。  怖いのは、女性の体脂肪過多による肥満が、上半身肥満として表れたときは、男性よりも糖尿病をはじめとする何らかの身体の異常を発症する頻度が高まることである。
 1989年にアメリカ予防衛生研究所で「体脂肪分布に関する基礎と臨床」を主題としたワークショップが開催された。 このときまとめられた、体脂肪と疾患の関係を紹介しておこう。
 まず、上半身肥満は全般的に死亡率を高め、とくに心筋梗塞などの血管障害による死亡の危険率は2倍にも達している。 これには男女差は存在しない。
 また、すでに紹介した糖尿病だけでなく、高血圧、胆嚢疾患も上半身肥満に多く、さらに上半身肥満に属する高年の女性の場合は、乳ガンにかかる割合も高くなっている。  下半身肥満の場合は、上半身肥満にくらべて体脂肪率が著しく増加しないかぎり、病気にかかる率やそれに伴う死亡率は低くなることが判明した。
しかし、静脈瘤や重い荷物を背負った際などに発症する、腰痛や膝の関節障害などの整形外科疾患が多いという報告がある。  この実態を知れば、ビール腹を自慢するなど、とうてい怖くてできなくなるだろう。

 上半身肥満が、死と隣り合わせになりかねないといっても大げさではないことが、わかっていただけただろうか。 現在、何の病気を持っていなくても、自分がリンゴ型の体型であるならば、体脂肪が上半身に蓄積されている危険を自覚すべきなのである。
「自分はお腹がそれほど出ていないから大丈夫だ」と胸を張る方がおられるかもしれないが、安心するのはまだ早い。 実は、上半身肥満型の人のなかには、体脂肪が外見に表れない、さらに怖い肥満分類に属する人がいるからである。
 上半身肥満をさらに分類すると、皮膚のすぐ下を覆うように体脂肪が蓄積されている「皮下脂肪型肥満」の人と、腸間膜などに内臓脂肪の多い内臓脂肪型肥満の人に分けることができる。  内臓脂肪型タイプの人は、肥満が目立たない人にも数多く存在する。
つまり、正常体重の範囲内に属する人のなかにも、実は肥満というべき人が存在しうることを意味しているのである。  厄介なことに、内臓脂肪型肥満を自覚するのは非常にむずかしい。
しかし、CTスキャンで内臓脂肪を分析すると、自分の内臓脂肪がどれだけ分布しているかが一目瞭然にわかる。 CTによる、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の違いをご覧いただきたい。
白く描出した部分が体脂肪である。  内臓脂肪型肥満の場合、腸間膜についている脂肪の代謝は皮下脂肪にくらべて活発である。
その結果、体脂肪は分解されて多量の遊離脂肪酸が肝臓に送られる。 この時、インスリンの作用が落ちてしまう。
肝臓が忙しく働かなければならなくなり、騨臓からさらなるインスリンを出して、それで代謝を正常に維持しようとする。 この結果、インスリンが枯渇してしまい、血糖値があがる。
その果てが糖尿病の発症となるわけである。 ほぼ同じ身長、体重の男性を臍の部分でとらえたCT断面像を見ると、2つのタイプに違いが見られる。
皮下脂肪で比べてみると、皮下脂肪型は内臓を取り囲む皮下脂肪が厚く、内臓脂肪型は薄いのが特徴。 内臓脂肪型は、内臓の部分がかなり肥大しており、内臓についた脂肪が身体に悪さをするものと考えられている。

 しかしなぜ、体脂肪が皮下脂肪に蓄積されやすい人と、内臓に脂肪が蓄積されやすい人に分かれるのか。 この原因については、ハッキリしたことは解明されておらず、いくつかの仮説がたてられている。
 一つは遺伝的なもの、それと人種の差が考えられている。 また、年齢による差や性別、ストレス、脳の下垂体ホルモンが影響するなど数々の説が指摘されているが、本当のところは解明されていない。
未解決な点が多すぎるため、この方面における研究の進歩が期待されているのが現状なのである。  私の研究室でつかんでいるのは、若い人は概して皮下脂肪型が多く、反対に年を重ねると内臓脂肪が多くなる傾向があることだ。
 しかし、これはあくまでも傾向でのこと。 もちろん、若い人のなかにも内臓脂肪が多いタイプもいる。
これは遺伝といわざるを得ない場合や、運動量の不足、脂肪の多い食事や砂糖を多く摂取するなどの原因によるものもある。  このことからもわかるように、普通に見てもそれほど太っていない人のなかにも、実はかくれ肥満、つまり内臓脂肪が多いために危険な状況におかれている人は、意外とパーセンテージが高い。
 脅迫しているわけではないが、内臓脂肪型の肥満のほうが、皮下脂肪型の肥満よりも健康に障害をきたす割合が高いことが報告されている。 「自分はお腹が出ていないから大丈夫」と慢心してはいけないのだ。

 また、お腹が出ている人のなかには、自分の体脂肪が皮下脂肪だと思い込み、「内臓脂肪型肥満よりはいいや」と早合点してしまう人がいるかもしれない。 そんな人は、本来は正しい体脂肪を計測することが望ましい。
家庭用の体脂肪計で測る方法もあるが、ここでは器具を使わないでおこなう簡単なチェック法を伝授しよう。  まずは身体を仰向けに横たえる。
このとき、足はたて、息をしながらリラックスした体勢をとる。 次にへそを中心として、左右2センチ程度の個所をつまんで持ち上げてみる。
 このとき、たくさんつまめたら、それは皮下脂肪だと考えていい。  反対に、お腹が出っ張っているのにつまめる個所が少ないとすると、これはより危険な内臓脂肪型肥満と自覚していただきたい。
あなたには内臓脂肪が多いことを意味しているのである。  体脂肪という言葉を正確に把握しているかいないかはさておき、脂肪のつき過ぎにたいして非常に敏感なのが若い女性である。
もちろん、彼女たちの大半が脂肪に関心を寄せるのは、健康上の理由からではなく、スタイルにあることはいうまでもない。  「少しでも痩せて美しくなりたい」「下半身デブを卒業したい」「憧れのスーパーモデルのように、カッコ良く洋服や水着を着こなしたい」……。
さまざまな理由や衝動に駆られるのであろう。 巷ではエステティックサロンが大賑わいし、書店などでは各種ダイエット本やビデオが好調な売れ行きを示していると聞いた。
 しかし、街を闊歩する若い女性たちを見ていると、決して太っている、つまり肥満体型の持ち主には思えない。  実際、厚生省が毎年実施している国民栄養調査を検証しても、20歳以下の日本人女性の体重は非常に少ない。

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